原付きの30km/h制限はあぶない?
「原付きの30km/h制限は自動車と一緒に走るにはあぶないのだ。昨今の原付き(50cc)は性能的にもっと速く走れるのだから、制限速度を上げて二段階右折などの制約を撤廃した方が、現実的に安全なのだ。」
こういう話が時々コラム等で取り沙汰される。
確かに「なるほど」なロジックに思える。
原付きと言ってもその気になれば80km/h程度のスピードは出せるわけで、あえて30km/hなどという低い制限速度で縛っていては、50~60km/h程度で走っている四輪車との速度差が大きくてあぶないよな、うんうんそりゃそうだ。
でもこれ、話の順番が完全に逆。
昔の原付きは性能が悪かったから(=スピードが出なかったから)制限速度が30km/hになったというわけじゃない。自転車そのものの車体に小さなエンジンを載せただけの「原動機付き自転車」は、技術の限界だったわけじゃない。
今のように四輪車がそこら中を走り回ってはおらず、「生活道路」と呼ばれる徒歩や自転車が主役の道がまだ多かった頃。そういった生活道路で利用するための「簡易的な乗り物」として原動機付自転車は生まれた。
- だからスピードは30km/hで十分だし、
- その程度のスピードなら自転車に小さなエンジンで十分だし、
- 自転車程度の乗り物だから免許の取得に実技試験は無しでよかった。
もともとの前提として、
四輪車と一緒に走ることなど想定していない。
想定してないからこその制限速度だし免許制度なのだ。
もしもその前提を変えて「四輪車と一緒に走る乗り物」と位置づけるなら、制限速度も上げて免許制度も見直さなければなるまい。
「性能が上がったのだから免許制度とかは今のままで速度制限とか二段階右折だけ無しにしろ」というロジックは、完全に本末転倒なのだ。
四輪車と一緒に安全に走りたければ、自動二輪車の免許を取って排気量の大きなオートバイに乗ればいいだけの話。125ccのスクーター免許(普通自動二輪・小型限定・オートマ限定免許)なら、最短2日で取れる。
話を本末転倒させて自分の都合の良いように論点をすり替えるのはどこかの国の得意技だが、それと同じことをしたくないなら、簡易的な乗り物である原付き本来の有り様から物事考えような。
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